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麹町聖イグナチオ教会 全信徒の皆さまへ

2020年3月13日


主任司祭 英隆一朗 s.j.


+主の平安

 この四旬節は、大きな試練の時となりました。東京大司教が3月15日以降もミサ・活動中止を決定され、3月末までミサも活動もできない状態です。次の判断日(中止を継続するかどうかの判断)が3月23日頃ということですが、世界的パンディミックの様相になり、世界レベルでの収束を考えるならば、平常化するのはかなり先になるではないかと予想されます。

 私たちは、とりあえずこの環境の中で、四旬節を実り多いものとして過ごすことができるよう、心がけていきたいと思います。そのためのいくつかのヒントを述べておきます。

ミサ(感謝の祭儀)の意味を見つめ直す

 教会の一番大切な使命は、信徒と共にミサをささげることです。この一番大切なミサをささげることができない状況について、主任司祭として、本当に心が痛みます。ある意味では、カトリック教会最大の危機の時とも言えるかもしれません。
 ミサにあずかれない時であるからこそ、改めて自分にとってのミサの意義を見つめ直してみましょう。健康のすばらしさは、病気になってみて初めて気づくと言われています。それと同じように、ミサにあずかれない時にこそ、ミサの大切さ・ご聖体の大切さを再認識してみましょう。

ミサに代わる祈りをささげる

 もしできるならば、いつも自分がミサにあずかる時刻に合わせ、聖書を読み、詩編を唱え、みことばを味わってみましょう。さらに、共同祈願のように、今必要とする恵みを祈り求め、主の祈りをを唱えましょう。聖書と典礼のパンフレットが手に入るならば、それを全部読んでみてもよいです。
 そして、実際の聖体拝領の代わりに、「霊的聖体拝領」をしてみましょう。実際に聖体はいただきませんが、キリストご自身が自分の心に来てくださることを願い、感謝する祈りです。

霊的聖体拝領の祈り

 「主イエス・キリスト、あなたがご聖体の秘跡のうちにまことにおいでになることを信じ、すべてに超えてあなたを愛し、私の心に迎えたいと望みます。今、秘跡によるご聖体を受けることができない私の心に、おいでくださいますように。
(少し沈黙で、イエス・キリストを心の中に迎え入れる)
 あなたが、今私の心にまことにおいでくださったことを信じて感謝します。いつもあなたと一致したいと望む私が、あなたから離れることのないようにしてください。」

カトリック祈祷書『祈りの友』(カルメル修道会)より


 ただこの祈りを唱えるだけでなく、少なくとも聖書を読み、主の祈りを唱え、必要なお願いをする祈りと合わせてください。

 なお、ネット環境がある方は、日曜日10時より、菊地大司教さまが主日ミサをネット配信しておられますので、それを祈りの心で視聴して、霊的聖体拝領をすることは勧められます。

 私自身、主日のミサとその説教は、個人のブログで公開していく予定です。
 ここにアクセスして、福音を味わい、説教を聴いてから、霊的聖体拝領をすることもできます。

ゆるしの秘跡にあずかる代わりに

 四旬節は、特に回心や悔い改めの時ですから、ゆるしの秘跡にあずかることが勧められます。ところが今回、ミサ中止の期間中はゆるしの秘跡も中止します。密室で一対一の対話は感染リスクがかなり高く、高齢司祭の健康を守る必要があるからです。
 そのため、今年の四旬節はゆるしの秘跡にあずかる代わりに、悔い改めの時をもち、回心の祈りを唱えましょう。告解する前のように、まず、自分の犯した罪を究明しましょう。そして、放蕩息子のたとえ話(ルカ15,11-24)や罪深い女のゆるし(ルカ7,36-50)など聖書を読みます。その後、悔い改めの心で、イエス・キリストのゆるしに信頼して、次のどちらかの祈りを唱えてください


悔い改めの祈り

 「私の神よ、私の罪をまごころから後悔し、悔やみます。私は、罪を犯すことによって、あなたの罰に値するだけでなく、さらに限りなくいつくしみ深く、すべてに超えて愛されるにふさわしい方であるあなたを侮辱したからです。
 私は、あなたの聖なる助けによって、これからもうあなたを侮辱せず、次の罪の機会を避けることを決心します。あわれみ深い主よ、私をおゆるしください。

『カトリック教会のカテキズム要約』(カトリック中央協議会)より


神のゆるしを願う祈り

 「いつくしみ深い神よ、あなたは、御ひとり子をお与えになるほど私たちを愛し、その受難と死と復活によって、あなたのいのちにあずかることができるようにしてくださいました。しかし、私は自分中心に生きてあなたの愛に背き、あなたと兄弟に対して罪を犯しました。
 どうか聖霊を豊かに注いで私の罪をゆるし、回心の恵みをお与えください。これからはキリストに従って生きる者となり、真の愛を実践することができますように。アーメン」

『祈りの手帖』(ドン・ボスコ社)より


 この祈りもただ唱えるだけではなく、自分の犯した罪を思い、神のゆるしに信頼して、心からの痛悔の心で唱えるようにしてください。できれば、四旬節中、一度は回心の時をもちましょう。そして、ゆるしの秘跡が再開されてから、罪をまとめて告解するようにお願いします。

 キリシタンの迫害時代、ミサ・聖体もなく、ゆるしの秘跡もなく、250年間、信仰を守り続けた先輩たちがいます。大先輩たちの信仰に助けられながら、私たちがこの四旬節を無駄に過ごすことなく、信仰を深めていく機会にしてくださるよう心から願っています。

 皆さんに神の豊かな祝福がありますように。



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